[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
災禍の中心に在る者 14.5
「・・・じゃあ、もう一度確認するがな、おまえたちの最終的な目的は村正にある、と。」
時は夕刻。場所はギルガメッシュの酒場。
その奥にある、個室の中の一つ。
そこで、先日侍に転職したばかりの、一応リーダーということになっているメーヴと、同じパーティの戦士パドミニ。
そしてそこに相対するのは、黒ずくめの衣装を身に纏う盗賊、イレイサー。
メーヴ「だから、何度も言ってるじゃないかっ。義父の名誉のためにも、実在が疑われているあの『妖刀』を見つけ出したいんだ、ボクたちは!だから・・・」
パドミニ「熱くならないで、メーヴ。」
間に入ったのは、頼れる傭兵、褐色の肌のパドミニだった。
今日の席を設けるにあたり、強行に同席を主張、どこか危なっかしいメーヴと相手との間に入り、交渉の行方を見極めようというのだ。
イレイサー「ようは存在証明できればいいんだろ?。・・・俺達はさる方からの依頼でな、村正を回収するのが目的だ。くだんの魔女退治に血眼になっている他の冒険者たちと違うってところでは俺達は同じさ」
パドミニ「メーヴはちょっと黙ってなよ。で?結局のところあんたの目的が村正だっていうならそれが何だって言うのよ」
イレイサー「手を、組もうじゃないか」
メーヴ・パドミニ「??????」
イレイサー「そんなにきょとんとするなよ。冒険者の常識だろ?情報交換とイザというときの救援の要請だ」
パドミニ「何をいまさら・・・こっちの方が探索は進んでいるんだ。そんなにメリットがあるとは思えないけどね」
メーヴ「で、でも、パドミニ、この黒い人の意見もあながち・・・」
パドミニ「メーヴ、あんたの知らないことがいっぱいあるんだよ、世の中には」
イレイサー「おいおい、まぁ疑われてもしょうがないが、お前達も聞いたろう?あの人達が全滅したって話」
それは、彼らよりも早くこの探索に名乗りを上げた上級のパーティがつい先日迷宮深部で全滅したと思われる事件のことだった。
イレイサー「正直、俺もいろいろ探索業で迷宮に入ってるがな、ここの厳しさは別格だぜ。どっかの賢者が言うには次元と時間が完全に狂ってるんだと。まったく一筋縄ではいかないよな?それにあのパーティは明らかに俺達より腕前は上だったよな。ホントのところ、直接的な要因はそれよ」
パドミニ「・・・・」
イレイサー「ともかく、だ。村正については独自調査で、必ずこの迷宮の深部にあるってのは間違いがない。おっと、情報ソースは明かせないがな。すぐにとは言わんが、今後のことを考えたらちょっと先行しているからって居丈高になる必要はないと思うがな。考えといてくれないか。」
パドミニ「・・・で、とどのつまりだ。もしもあたし達が村正を見つけたらどうするんだい?」
イレイサー「もちろん先に見つけたほうが所有権あり、だな。でもな、俺達が先に見つけても、『存在証明』にはなるだろ?なんだったらひもつきで貸してやってもいい。そもそも村正が存在しないなんて説自体がナンセンスだがな」
メーヴ「どうして知ってるのかしらないけど、ほんとにあるんだね?村正は!」
イレイサー「もちろんさ。」
パドミニ「ちょ、ちょっと待ってよメーヴ・・・とにかく、この話はここまでよ。一応、預かりにしておくわ」
イレイサー「いい返事を、期待しているぜ」
パドミニ「(確かに悪くない話だけど、所有権の話は結論を誤魔化したな、この男・・・)」
*******
この数日後、メーヴたちのパーティとイレイサーたちのパーティが緩やかな共闘体制をとることになったとのうわさが、しばらく酒場での話しの種になったという・・・
01 | 2025/02 | 03 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | ||||||
2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 |
16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 |
23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 |