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~ダイヤモンドナイツ~
どうやっても、勝てない・・・
もうこれで何度目になるのか。
迷宮の最深部において遭遇した悪魔の大集団。
魔人ダパルプスが今際の際に召喚したデーモンロードと呼称される大悪魔と、もう何度剣を交えただろうか。
何度かデーモンロードを倒したときもあったものの、取り巻きのグレーターデーモンらの唱える攻撃魔法に体力を奪われる結末に変わりはなかった。
その都度、奇跡の魔法RE:SETで時を戻す羽目になる。
そしてさらに最悪なことに、脱出路が存在しない。
そこは完全に袋小路になっており、魔法が使えず転移の兜も失ってしまったマルタボーにとっては無限地獄に落ちたも同然であった。
「やむをえん、あれをやるか・・・」
一縷の望みをかけて、ドワーフは最後の策に打って出た。
「KOD'S」を手放す。すると帰巣本能なのか、それぞれがもと安置されていた箇所に転移していった。
誰かが、察知してくれれば。
誰かが、再度KOD'Sを集め、ここまで来ることができれば。
******
結論から言うと、彼は賭けに勝った。
それも、彼自身も想像もしなかった方向に。
簡易魔方陣CAMPでひたすら待つ彼の前に現れたのは、KOD'Sを纏ったドワーフの女侍。
驚くマルタボーの前で、さらに驚く内容を彼女は言った。
もう一人を待つ、と。
そしてまたしばらく時が流れて、もう一人の騎士が姿を現した。
エルフの君主・・・
******
その戦いは熾烈を極めた。
大変異MAHAMANを唱えたステイアのおかげで、悪魔達の魔法は封じ込めることに成功した。
しかし、回復魔法を頼みにしていたオリノコは早々に麻痺。
増殖を続ける悪魔軍団に立ち向かうマルタボーとステイア。
徐々に削られていく体力、精神力。
だが、最後にその場に立っていられたのは、無論悪魔ではなくドワーフなのであった・・・
******
こうして、リルガミンを襲った災難は終焉を迎えた。
これ以後、地下迷宮は魔物が全て消え去り、ニルダの寺院として奉じられていくことになる。
そして、冒険者達は・・・
~チームEの奮闘~
ニルダの杖が安置されてから、いったい何日たったのだろうか。
一番の功労者であるはずのドワーフ、マルタボーは地下深く、「キャンプ」と呼ばれる簡易魔方陣の中でただ、寝転がっていた。
なぜか、装備品は何もない。
いや、鍵を一つ、もてあそんでいるようだがそれ以外は平時の麻の服を着ている、あまりにも迷宮の奥底には似つかわしくない格好で、彼は一体何をしているのだろうか?
「あいつら、ちゃんとメッセージ理解したろうか」
つぶやくドワーフに答えるものはなく。
ただ迷宮の暗闇が広がるのみであった・・・
数日前。
ニルダの杖が無事にリルガミンに戻ってから数日。
一部の冒険者達は、迷宮に巣くう魔物の掃討を名目に地下迷宮へと降りていた。
今では「金剛石の騎士」で知られるマルタボーもその一人だったが、KOD’Sをニルダ神へ返納してからは普通の装備に切り替えて掃討戦に参加していた。
しかし、戯れにKOD’Sが安置されていた場所へ行ってみると、驚いたことにまたKOD’Sの武具があり、最初と同じように襲い掛かってきたのだ。
どうにか退けると、マルタボーたちチームEの面々は再びKOD’Sの回収に取り掛かった。
少なからぬ被害を出しつつも、どうにかすべてを回収した一行は、再度寺院へ持ち込んだのであった。
ニルダの意図がまったく読めなかったからであるが、寺院の僧侶達も、王宮も、賢者達も誰も答えを持っていなかった。
なぜ、再びKNIGHT OF DIAMONDSの装備一式をニルダは下賜されたのか?
結局のところ、結論が出ることもなく、当のマルタボー本人からの提案により再度一人で地下へ降りることになったのだった。
そして、その日遅くにぼろぼろになって戻ってきたマルタボーは驚くべき報告をした。
あらたな迷宮の存在。そして、真の敵の存在を・・・
地下6階、ニルダの亡霊が出現した場所へ再度向かったマルタボーは、そのとき、まばゆい光とともに全く知らない未知のダンジョンに放り込まれたのだという。
その間際、一瞬だけであったがマルタボーの脳裏に直接響く声。
”このフロアの奥に潜む全ての元凶、魔界の君主を打ち倒すべし!”
”汝に授けるはあらたなる力Re:Setの魔法”
”それすなわち、数刻の時を戻す魔法なり”
”ただし使い方を誤るなかれ。克服できぬ災難がおきることもあるゆえに・・・”
そして、さまよう彼に襲い掛かる強力な敵の数々。
幾度マルタボーは死んだのだろうか?
その都度ニルダに授かったRe:Setを用い、徐々に歩を進めていったのだったが。
その探索の中、まさに思いがけない災難がマルタボーを襲ったのだった。
つづく
~チームNの別離~
ニルダの杖が、リルガミンに再度安置されたその日。
冒険者たちはもちろん、街中がお祭り騒ぎとなった。
そんな中、ギルガメッシュの酒場で、ひとつのパーティがささやかな解散の宴を催していた。
ステイア「なーんかもう、あっというまだったわね、終わってみれば」
カケル「三ヶ月ちょっとのはずなんだけど、もう一年以上いた気がするな・・・」
フィラール「俺達が加わってからは一週間だったけどな。残念だっ!」
ロータス「でも最初に加入するときにもエルアキの旦那に念押しされてたしね。」
エルアキ「そうだぞ、お前ら。それに一月後には次の仕事をお前達に任せるんだからな。しっかり頼んだぞ」
アドア「??なんだっていうの。次の仕事が決まったの?」
エルアキ「ああ?言ってなかったか。東にアルマールって街があってな、ちょっと遠いんだがそこに店を持つことにしたんだ。」
ロータス「で、その準備やら護衛やらで俺達が雇われたって形だな」
アドア「よく資金が調達できたわね?いくらあなたでもそこまで稼いでいたかしら」
エルアキ「いやぁ、副業が当たってな。」
アドア「副業?・・・ってまさか、あのクリーピングコインの?!まだやってたんだ!」
エルアキ「どうにか飼いならすことに成功してな。貴族や占い師なんかにけっこうな額で売れたのよ」
カケル「あれってお話の中だけだと思ってましたよ。生けるコインの占いかぁ、流行りますね」
ステイア「それにしても念願の自分のお店、か。結局、冒険者相手の酒場兼何でも屋をやるんだっけ?」
エルアキ「そうだな・・・この街の酒場と宿屋を合わせた感じにしたい。将来的には冒険者のギルドみたいなものができればいいと考えている。」
カケル「それはおもしろそうですね。私はいったん故郷に帰りますけど、いつか寄らさせてくださいね」
ステイア「ヒノモトだっけ、東の果てでしょ?」
カケル「やらなきゃいけないことができましてね。自分の言には責任をとらないと・・・ステイアは残るんでしたか」
ステイア「そうね、迷宮の掃討戦に参加するわ。全部終わったら旅に出ようかと思って。その資金稼ぎね」
エルアキ「南に、か?すまんが俺達の分も頼んだぞ」
ステイア「ん、Hitとダフニの故郷がずっと南にあるって言ってたもんね。家族とかいるかわかんないけど、一応、けじめだし。全部終わったらアルマールにも報告に寄るわね」
アドア「そう・・・よね。やっぱり私も行くべきだったかしら。今からでも・・・」
ステイア「あ・な・た・は!もーう、せっかくあの朴念仁と一緒になれるんでしょ?余計なことに気をまわさないでよ。あとは私たちでやるから。大体そっちだって大変なんでしょうに。」
カケル「?誰ですかその朴念仁て??!」
ステイア「察しなさい。その頭は魔法のことにしか働かないの?」
カケル「(そっちだってちょっと前までただの魔法ヲタクだったんじゃ・・・)」
こうして、一つの冒険者パーティが解散となった。
世界を救ったわけでもなく、目だった戦果を残したわけでもなく。
だが、一つの冒険の終わりは、新たなる冒険の始まり。
そんな彼らの行く末は、誰も知らない・・・
エピローグ3 ~チームEの奮闘~ へ続く
金剛石の騎士たち エピローグ1
~チームGの選択~
ニルダの杖が戻った翌日、午後。
ラハ「で、何の用なの?急に全員集まれだなんて・・・い、いつっつぅ」
リヴァ「ラハはまだ昨日のアルコールが抜けてないか?自己管理が甘いのう。」
フォールズ「ほんとほんと。あ、でもドワコがいないねぇ。珍しい」
オリノコ「彼女は来ない。今朝方旅立ったよ。」
全員「??!?!!!?」
オリノコ「話せば長いんだが。実は彼女のルーツにつながる手がかりが、な。」
ギゼ「ああ、例のDWKか?記憶がないんだったよな、昔の。」
オリノコ「昨夜、ドワコとカケルが話し込んでいた横を通りかかってな。確実ではないらしいが、DWKというのはカケルの故郷に伝わる伝説の『闇の森の王国』のことじゃないか、という話を聞いてな。ドワコはかなり焦っていたみたいだった。でもまさか今朝方行ってしまうとは思わなかったが。」
ラハ「・・・DARKWOOD KINGDAMってこと?頭文字?」
フォールズ「でもそれだけじゃなー。それにカケルの故郷ってずぅーっと東の島国なんでしょ」
リヴァ「大体おぬし、今朝方見かけたんじゃろ、止めなかったのか」
オリノコ「すまない。そんな雰囲気じゃなかった。だから、皆に集まってもらったんだ」
ギゼ「どうするってんだ。個人のことだからあまり口を突っ込みすぎるのもどうかとは思うが・・・」
ラハ「あんた以外と冷たいのね!これまでいっしょに頑張ってきた仲間の一大事でしょう!」
ギゼ「そ、そういうつもりじゃないぞ。ただドワコ自身の気持ちも考える必要があると思ったんだ。大体今から追いつくのか?MALOR使えるぞあいつ」
オリノコ「・・・カケルの話では、DWKは武器を使わない体術だか武術だかを極めようとしている者たちの集団らしいってことなんだが、その存在自体が伝説らしくてな。彼もずっと忘れていたそうだ。」
リヴァ「存在もあやふやで、本当にあるのか、どこにあるのかもわからないところに、1人で向かったというのか」
オリノコ「だからこそ、皆を巻き込みたくない、ということはドワコも言ってたよ」
ラハ「だからって!そのまま行かせるのはどうなのよ」
オリノコ「そこで相談なんだが、4階の賢者を覚えているか?」
フォールズ「あー、そんなのいたねぇ。大金払えばいろいろ教えてくれるとか。結局払えなくてそのままだったよね」
リヴァ「その賢者がどうしたというのだ」
オリノコ「昼前にいろいろ調べてわかったんだが、あの賢者はカケルの同郷らしくてな。金にはかなりガメツイらしいが星見の能力ではかなり腕利きらしい」」
ギゼ「もうわかったぜ。DWKのことを尋ねようっていうのか」
フォールズ「そんなに都合よくいくかな?」
オリノコ「仮定の話ですまない。まず私の持ち金だけではきっと足りない。そして私は一族の仮の代表というなんというか、微妙な立場でな・・・自由がきかないのだ。もうすぐ、故郷に帰らねばならない事情がある。そんなこんなで私が自由にできる時間は少ないんだ。だけどドワコのためにできる限りのことはしてやりたい。このチームのリーダーとして、最後の御願いを・・・」
リヴァ「・・・もういいわい。みなまで言うな。ワシは行くぞ」
ラハ「まず、その賢者に聞いてみてからね。それからドワコの後を追っかける。他は?」
フォールズ「おもしろそうだねぇ。DWKが本当にあるんだったらいっしょに行くよ!でも無いんだったら行かないからね。」
ラハ「それでいいわ。ギゼ?」
ギゼ「むーん、しょうがない、つきあうか。でも実在しないと思うがなぁ」
フォールズ「そうだよね、そんな都合いい話ないと思うけどね!きっと無駄足だよ」
さらに翌日。
「五人」の若者が、はるか東を目指してリルガミンを旅立った。
一人、街のはずれで見送ったエルフはつぶやいた。
「まさかカケルが一緒に行ってくれるとは思わなかった。しかし、必ず私も後を追いかける。早く帰って長老達を説き伏せないとな」
城塞内へ戻る彼のもとに、もう一人のエルフがかけよってきた。
「・・・ずいぶんと君には待たせてしまった、アドア。」
そして二人は、ともに遥か北の故郷へと旅立ったのだった。
エピローグ2 ~チームNの別離~ へ続く
~九十四日目の夜、ギルガメッシュの酒場にて~
ガッサム「うーん、だからここの扉で3つめの玄室だろ?」
ゾディ「だからよ、北周りのほうが・・・こっちに、こう抜けるんじゃねーか」
B・スペイサー「そこ繋がってないんじゃ?うむむむ、魔法がしっかり働いて正確な地図が早く書ければ」
コーネリア「しかし、あれですな。ほとんど毎回死者が出てませんか、最近」
マルタボー「確かにな、効率が悪すぎる。こんな凶悪なところは早く終わらせたいぜ」
地図を見ながら晩酌をとっていたチームEのテーブルに、通りすがった1人のドワーフ・・・
そう、チームNのエルアキだった。
シン・シロ「これはエルアキさん。我が神の教えを聞きたいのですかな?歓迎ですぞぉ」
エルアキ「・・・その地図・・・」
マルタボー「?なんだ、なにかあるのか」
エルアキ「だいぶ苦戦してるようだがな・・・この地図、俺達が見つけたドアは描かれてないな」
コーネリア「どこです?どこです?」
エルアキ「確かそこに一階の亡霊がいたな・・・うーむむ、2週間以上前のことだからなぁ、よくは覚えていないな」
ガッサム「もったいぶるなよな、早く教えてくれよ」
エルアキ「むぅ、金の重さを教えてくれたら思い出せるかもしれんな」
マルタボー「ちっ、・・・これを持っていけ。俺が自由にできる分全部だ」
B・スペイサー「ちょちょちょっと!き、気前良すぎじゃあないですかあ」
エルアキ「ふん、俺の目的はシンプルだからな。だが悪い買い物じゃないと思うぞ」
そういって指差したのは、地下6階に下りてすぐの、ただの壁があるポイントだった。
ゾディ「待てよ!ここに扉なんかあったか?」
エルアキ「あったんだな、それが。おまけにもう一つ。例の亡霊な、『1人で来い』とよ。俺達はそこまでで地上へ飛ばされたんだ」
コーネリア「それ本当の話なんですか。大体・・・」
さえぎるマルタボー。
「もういい。こいつの話は信用できる」
話はそれまで、とエルアキは重そうに袋を持って立ち去っていった。
そして翌朝。
1人、マルタボーは「ダイヤモンドの騎士」として地下へ降りていったのだった。
九十五日目
マルタボー、KOD'Sの完全装備を身にまとい、マスターキーと転移の兜を持って出発。
ダイヤモンドの騎士の一人旅・・・
地下一階。
地下二階。
地下三階。
地下四階。
まったく、苦もなく踏破。
地下五階、若干遠かったが、たいした抵抗にあうでもなく下への階段へとたどり着く。
そして、地下六階。
教えられたポイントへやってきたマルタボー。
「確かに。扉があったな・・・」
光に包まれるマルタボー、そして亡霊の声が響く。
”伝説の騎士の武具をこうしてここに揃えることでそなたは自ら、勇気と知恵と真の心があることを証立てた”
”我はそなたの揃えたこの武具、伝説の騎士の装束を我が手に取り戻す。そのかわりに、そなたにはこの宝を授けよう”
”見よ!これぞ、ニルダの杖なり!”
そして、ダイヤモンドの騎士、マルタボーの名は伝説となった・・・
金剛石の騎士たち 完
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